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舟木 泰智; 吉村 和也; 佐久間 一幸; 成田 哲也
no journal, ,
陸水域での放射性セシウム(Cs)の移動挙動を把握するとともに、今後の移動挙動予測手法を開発することを目的として、福島県浜通り地域に位置する5つのダムと13の小規模なため池でCsの動態調査を進めている。調査対象の貯水池流域は、いずれも福島第一原子力発電所の事故により環境中へ放出された放射性物質によって、比較的高濃度に汚染されている。本報では、このうち請戸川水系の中腹に位置する大柿ダム(流域面積約110km)の底質調査、セディメントトラップ調査および水質調査から得られた懸濁態および溶存態として流域を流下するCs濃度の時間変化について報告する。
吉村 和也
no journal, ,
本研究では、Cs-137濃度、およびZn, Pbについて、市街地から流出するCs-137のトレーサーとしての有用性を確認すると共に、市街地から降雨時に流出する懸濁態Cs-137の起源推定を行った。Cs-137濃度を沈着量で除して得た沈着量あたりのCs-137濃度(EC)、およびZn濃度は、舗装面堆積物で有意に高い値を示し、トレーサーとしての有用性が確認された。EC, Zn濃度は粒度依存性を示したことから、SSと同程度の粒径を想定したEC, Zn濃度に補正した。SSに対する堆積物の寄与率は、EC比で53-67%、Zn濃度比で78-85%と推定された。
佐久間 一幸; 舟木 泰智; 北村 哲浩; 飯島 和毅; 辻 英樹*; 林 誠二*
no journal, ,
Cs高汚染の森林域渓流水中においては未だ溶存態Csが検出されており、それらが流入する河川水中の溶存態Csの挙動予測が重要な課題となっている。そこで本研究では、統合型水循環流域シミュレータを用いて森林域における渓流水中溶存態Csの発生源を明らかにし、さらにその経路を解析することを目的とする。解析対象は福島県浜通り2級河川の一つである太田川の上流域とした。実測に関しては、流域からの流出点において水位-濁度の連続観測を実施し、H-Q曲線の作成、月一回程度の採水を行い、溶存態・懸濁態Cs濃度を測定した。これらの実測値と計算値の比較を行いモデルの再現性を検証した。解析期間は2014年-2015年である。水に関しては出水時のピーク位置やピーク高さを高精度で再現した。このモデルを用いて、森林域渓流水中の溶存態Csの流出挙動の解析を実施した。河川中の溶存態Csの濃度は夏場に高く、冬場に低い傾向が観測データから得られているが、計算結果においても、同様に夏場に高く冬場に低い傾向を示した。これは降水量に応じた土壌の乾燥状態の違いや、汚染濃度の高い箇所を流れる流量の変化、河川中の懸濁態Cs濃度の増減による再分配が考えられる。
中西 貴宏; 佐藤 成二; 村井 大平; 片寄 優二
no journal, ,
東京電力福島第一発電所事故により陸域に沈着した放射性セシウムは、事故から5年半以上経過した現在も、河川を通じて流域を移行している。事故直後に比べて河川水の放射性セシウム濃度は著しく低下したが、その傾向は緩やかになりつつある。河川における放射性セシウムの動態を理解することは、淡水生態系や農作物への放射能汚染の影響評価のみならず、水循環や流域環境の評価の指標ともなり得る。本発表では、福島県浜通り地方を流れる8河川における放射性セシウム濃度の時間変化を報告するとともに、放射性セシウムの動態を規定する環境要因について議論する。
山田 進; 北村 哲浩; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 町田 昌彦
no journal, ,
本発表は福島長期環境動態研究(F-TRACE)の一環として実施した2次元河川シミュレーションコードNays2Dによる福島県の請戸川の河口付近での土砂の堆積分布予測およびセシウムの振る舞いに関する研究についての発表である。放射性セシウムの多くは土砂(粘土)に吸着し、土砂とともに移動する。そのため、洪水時のように流速が速くなると浮遊して流され、流速が遅くなるとに堆積することが知られている。そこで、原子力機構の並列計算機SGI ICEXを用いた並列シミュレーションにより請戸川の河口付近における洪水時の放射性セシウムが付着した浮遊砂の振る舞いを調査し、放射性セシウムの堆積を予測した。特筆すべき成果は、河口付近で合流している高瀬川の影響で請戸川の流れが北方向に曲げられ、河川の北側に放射性セシウム濃度の高い土砂が多く堆積することを示したことである。また、観測結果もシミュレーションと同様の傾向を示している。この成果は、計算機シミュレーションを用いることで河川によるセシウムの振る舞いを予測することが可能であることを示している。